会報第6号

もくじ
九州販売士交流会を開催
 九州販売士交流会幹事団体として
 九州販売士交流会に参加して
 九州販売士交流会に参加して思うこと
いち買い手としての雑感
食材の世界のプロでありたい
販売士として思うこと
関西地区の物流センター見聞録



〜九州販売士交流会を開催〜
九州の販売士交流の輪がひろがる

 日 時  10月25日(土)14:30〜17:50


 場 所  福岡商工会議所


 第一部  交流会 14:30〜15:00
 第二部  講演会 15:10〜16:10
   ・演題:「企業経営にかける情熱」
   ・講師:森 恍次郎様


 第三部  懇親会 16:20〜17:50


 昨年4月に長崎販売士協会、島原販売士協会に続いて、九州で3番目の福岡販売士協会が発足して1年を経過しました。また今年は、昭和48年度に販売士制度が発足して30周年になります。そこで、日本・長崎・島原・福岡の4販売士協会は、この30周年を記念し、九州地区販売士の研鑽と交流を目的として、「九州販売士交流会」を開催いたしました。
 交流会は福岡販売士協会の佐田智彦さんの司会ではじまりました。第一部では、今回の監事団体である福岡販売士協会栗川会長が、今回の交流会の目的、九州の販売士資格者の状況、福岡販売士協会の活動状況、この交流会の今後の発展への期待を述べました。 引き続き長崎販売士協会富永会長が九州各県で地域販売士協会設立への期待が述べられました。また、日本販売士協会の山本専務理事からは、販売士制度発足30周年の記念行事についての説明と、今後九州販売士交流会がさらに発展してほしいと述べられました。
 第二部では、五十二萬石・如水庵グループの森恍次郎代表取締役より「企業経営にかける情熱」という演題の講演がありました。会社にとって経営理念がいかに大切かということを学びました。
 第三部の懇親会は島原販売士協会の芥副会長の島原販売士協会の歴史と若返りについての挨拶と乾杯の音頭で始まりました。懇親会は福岡・長崎・熊本・佐賀の販売士の皆さんの名刺交換、会話の輪が大きく広がりました。また、長崎商工会議所の矢川事務局長、熊本からの参加者代表の上原昌博さん、佐賀から参加の江口尚利さん、福岡第一酒販鰍フ高木常務取締役のスピーチがありました。
 3時間半にわたる交流会は大盛況のうちに、福岡販売士協会の濱村監事の締めの挨拶でおひらきとなりました。


九州販売士交流会幹事団体として

会長 栗川 久明

 皆様大変お忙しい中、九州販売士交流会にご出席を頂き誠にありがとうございました。
 参加者は、日本販売士協会の山本専務理事、長崎販売士協会からは富永会長以下6名、島原販売士協会からは芥副会長・林副会長以下3名、熊本からは上原昌博さん以下6名、佐賀からは江口尚利さん、そして地元福岡からは福岡商工会議所の久保部長、賛助会員の福岡第一酒販鰍フ高木常務、麻生情報ビジネス専門学校の本田副校長以下29名の合計46名でした。
 今回の九州販売士交流会の目的についてまず述べます。
 昨年4月に長崎販売士協会、島原販売士協会に続いて、九州で3番目の福岡販売士協会が発足して1年を経過しました。また今年は、昭和48年度に販売士制度が発足して30周年になります。そこで、日本・長崎・島原・福岡の4販売士協会は、この30周年を記念し、九州地区販売士の研鑽と交流を目的として、「九州販売士交流会」を開催することにいたしました。
 現在、九州全体で販売士資格者数は、25,500名(1級400名、2級4,700名、3級20,400名)になっております。九州各県の販売士交流のために、販売士資格者はどなたでもご参加いただけるようにいたしました。この九州販売士交流会が九州各県で地域販売士協会設立のきっかけになり、販売士交流の輪がもっともっと広がっていけばよいと思っております。
 福岡販売士協会は昨年の4月13日に日本販売士協会・長崎販売士協会のご支援をいただき設立をして、1年半が経過いたしました。
 現在会員が102名で、1級販売士88名、2級販売士が14名です。また賛助会員として4社に加入していただいております。
 特に今年力を入れておりますのは、毎月第1水曜日の「流通業支援プロジェクト」と毎月第3土曜日の「1級販売士検定受験研究会」です。「流通業支援プロジェクト」では毎回会員よりゲストスピーカーになってもらい30分ほど話をしてもらい、その後討議をしております。また、「1級販売士検定受験研究会」では1級販売士の会員に講師になってもらっています。またこの研究会を発足させたために、1級に挑戦したいという2級販売士の方々の加入促進にもなっております。
 長崎販売士協会の富永会長のところとは、定期総会や新年懇親会にお互いに出席しあい交流を深めております。ぜひ、熊本でも販売士協会が設立され九州の販売士の交流の輪がさらに広がっていくことを期待いたしております。


九州販売士交流会に参加して

佐賀県 1級販売士 江口 尚利

 九州販売士交流会に参加させて戴き本当に有り難う御座いました。有意義な1日を過ごさせて戴きました。
 今年は販売士制度が出来て30周年を迎えられ、九州の販売士の有資格者が25,500名にもなり、ますます発展されている事を嬉しく、頼もしく思います。
 正直なところ、今まで販売士協会及び販売士有資格者の組織だった活動が目に見えず、ただ個人的又は個別会社で有効に活用なさって、成功していること、又、各地域個々に組織化されていることも雑誌「販売士」を通じて知っておりました。
 世の中はデフレ時代に突入し、就業促進だなんだかんだと言い国も資格をとれば受講料を援助する等の対策が採られ、該当する資格の数も私もすぐには言えないほど多くなりました。又、近ごろ新聞情報等によると、百貨店協会と日本サービス・流通労働組合連合で協同で「百貨店プロセールス資格制度」を立ち上げ、対面販売の技術の向上を図るとのことですし、東急ハンズによると「グッドサービス認定制度」を設立され、販売員の質の向上及び評価制度に関心が寄せられているようです。
 現在、実務に役立つ公的資格として「消費生活アドバイザー」資格があり、このままでは「販売士資格制度」も埋没してしまうのではないかと危惧しております。デフレ時代に各流通業者は優秀な販売員を求めると共に、各社で教育制度を作り接客技術を中心に販売員の質の向上に真剣に取り組み始めています。このように時代が優秀な販売員を求めている時、「販売士」及び「販売士協会」の果たすべき役割は大きいと思います。

 この場を借りて今後の「販売士協会」の発展のために次の事項について検討して戴きたいと思います。紙面の都合上項目だけ記させて戴きます。
1.販売士協会の組織化及び組織活動による「販売士」資格の認知度の強化。
2.3級資格試験内容の再検討・・・基礎編は別として、現場ですぐ役立つ実践教育(笑顔の作り方等)を取り入れ、3級資格者を採用した企業に価値を認めて貰う実力を養成する。
3.地域販売士協会設立への呼び掛け及び今後地域販売士協会設立を考えている人に役に立つ、設立準備の方法、規約等の見本を雑誌「販売士」に連載する。
 最後になりましたが、日本販売士協会・福岡販売士協会・長崎販売士協会・島原販売士協会の益々のご発展を祈りつつ筆を置かせて戴きます。

「ああ素晴らしきかな販売士」
ああ素晴らしきかな、販売士 
私たちの行方は虹の彼方よ
ああ素晴らしきかな、販売士 
みんなの生活守るのよ
ああ素晴らしきかな、販売士 
流通業界のにないてよ


九州販売士交流会に参加して思うこと

1級販売士 甲斐田誠二

 先ず第一にどなたのご発表だったかは失念致しましたが、次のような要旨だったと思います。「販売士業界は、他の業界と違って自然発生的に地区協会が誕生していくものである。」
 私は、このお話にいたく感動し、全く当を得た内容だと思いました。この広い裾野に燎原の火の如く『会を創ろう』というボトムアップの一陣の風が同志を募り形あるものを創造していくものであることを痛感した次第です。勿論そこには核となる幾人かの黒子の影武者の存在とその方々の涙ぐましいお骨折り、それを支える他地区協会の愛の手があったればこそ、今日の結晶が生み出されたものだと思います。コロンブスの卵ではありませんが、中国の諺に“井戸を掘った人のことを忘れてはいけない”という言葉がありますが、正にその通りだと思います。
 第二に感じることは、販売士の集いであるから『販売士』のことが語られるのは自然の成り行きかもしれません。然し、私にはどうもそれだけではないように思われます。『販売士』だけが突出して他がかすんでみえる。余りにも“近視眼的”で、一方的に偏向した感じです。あたりを見渡しても、周辺の状況は“変化の時代”を通り越して“超変化の時代”に突入しているわけです。相談者(クライアント)の要請は、100人いわば100通りの“販売”に固執することのない多様化したニーズがあるわけです。それも多忙な時間を節約した一ケ所で何でも相談ができる(品揃えができる)ワンストップ・ショッピング志向のできる人を求めているのです。そのために今では、弁護士・税理士の専門家が、例えば中小企業診断士・社会保険労務士の勉強をして、少しでも自分の知識の裾野を広げることにより、大衆化・分集化から多様化・個別化した人のニーズに応えようとしているわけです。国家試験勉強は、例え合格はしなくても勉強したぶんは、自分に対する付加価値として己の知識に加算されるわけです。
 天下の三大名城の一つ、熊本城の石垣は大きな石と小さな石(雑学的なもの)の実に巧みな構造美と機能(ファンクション)の調和の中にこそ構成されているということです。
 言わんとしていることは、突出した“販売士”の裾野にもっと幅広い雑学的な小石を敷きつめて盤石の体制で、クライアントの要望に応えることだと思います。それも日々こつこつと“牛の歩みより遅くとも、遂には千里の道を行く”思いで精進すれば、“朝のこない夜はない”明るい展望が拓けてくると確信致します。
以上



いち買い手としての雑感

1級販売士 副会長 石原 義曠

 昨今は、総じてどの店も客寄せに知恵を絞っているせいもあってか、品揃えに特徴を持たせたり、固定客への特典供与とか店構えなどにいろいろ工夫を凝らしたところが多くて興味深い。店内を回ってみても、ひと昔前には考えられなかったほど洗練された雰囲気と快適な空間を楽しめる上に営業時間も長くなって、いつでも都合のよい時を選んで買い物ができるのは大変に有難いことだ。店舗の魅力を高めるための売り手の工夫や投資への努力が並大抵ではないことが窺い知れる。今や、流通業の態様は諸外国と比べてみても十分過ぎるほど先進性のある業界になりつつあるように思う。
 しかし、一方でこのような現状への実感とは別に、売り手の日常行動からは負の部分をより強く感じさせられる問題がある。それは、どこも決まり文句のように謳っている理念上のお客様第一主義と実態面との落差があまりにも大きいことだ。端的にいえば、心のあり様に起因した問題である。一例を挙げれば食品の偽装問題しかりで残念ながら、このような現象はどの業種・業態においても大なり小なりほぼ共通しており、前線の店頭や窓口部門での日常的な客対応の場面や行動に如実に現れている。
 因みに、こんな体験がある。百貨店から届いた贈答依頼のサイズ交換と量販店への電気品のアフターサービスを頼みたかったので、それぞれ同一社の地元店に行ってみたらどちらからも「購入店にお申し付けください」と平然と言ってのけられたのには唖然としたが、その訳はどうやら売り手側の「店別独算制」にあったようだ。このような買い手の望みや期待を裏切るような例は他にも枚挙に暇がないほど体験させられたが、きっと私のみならず多くの買い手が類似の経験をされ、売り手に対する不信感や不満を募らせておられるのではないかと思う。
 現下にみられるお客不在の売り手の論理による経営姿勢や現場対応は、生き残りをかけての時代であるが故の利益第一主義の結果が招いている現象だと考えるが、斯くの如き姿勢や行動が改まらない限りは目論見とは逆に利益も発展も期待できないと思う。売り手の利益というものは、良心に根ざした活動の適切さや質の良さによってもたらされる証であり結果だと考えるからだ。
 「利益を挙げるためにどうするか」という利己的な発想と目的観のもとでは、いくら衆知を集め客を取り込もうとしても買い手はついてこないと思う。詰まる所は、売り手の誠をもって買い手の心をつかまない限り利益という結果はついてこないのではないか。利益の源泉は、我々買い手と日常的に接触している店頭にあるのであって、買い手がどうあって欲しいと思っているのかを現場でしっかりと把握し対処して貰いたいと思う。
 要は、真心をもって臨んで貰わなければ買い手の信頼を得ることは難しいと言いたい。いち買い手として望みたいのは、かってのような「商いの心」を、この時代に今一度、より多くの売り手の方々に取り戻して貰えればと願っている。
         
以上



食材の世界のプロでありたい

2級販売士 研修委員長 泉 亨

 食の安全と安心は【農場から食卓まで】の一貫した衛生対策と安全対策が前提となります。最近では、家畜の飼料まで遡って確認出来るトレーサビリティが、大きく話題を集めています。しかし、現実的な問題として、エンドユーザーへの食品加工あるいは販売を行っている現場の人たちの意識が、安全・安心にどれだけ理解を示しているかが、大きなポイントとなります。売ってはいけない商品、売るべきではない商品をきっちりと見極めて売り場から排除することが、販売業者としての大切な勤めだと思います。人に危害を及ぼす恐れのある商品を、売り場から排除することが出来れば、買い物をする立場の消費者にとって、安心出来る買い物の場が確保出来ることになります。
 食の安全を脅かし食に対する信頼を失墜させかねない異常な状態が次々と発生している現状を鑑みると、何時でも、誰でもその意思さえあれば取り組むことが出来ること、例えば虚偽表示をしないと言った基本的なルールだけは、少なくとも守れるプロとしての自覚を持ちたいと考えます。
 安全性の面で問題となる食中毒は微生物がその主な要因です。国際法との別名があるペトリフィルム培地法を利用すれば、比較的容易に食中毒菌を検出できます。世界的に見ても微生物による食中毒は減少するどころか、むしろ増加基調にあると云われている現状を考えると、微生物の自主検査の必要性は当然のことと受け止め、即実行に移したいものです。
 色々な角度から食材を眺め、理解をし、食を愛する心を持ち続けて感性を磨き、確かな目で産地を選び、確かな感覚で物を選び、確かな技術で物づくりをする。そして確かな情報とともに物を販売する。そんな食材のプロであいたいと願っています。
以上




販売士として思うこと

1級販売士 大原 盡

●はじめに
 街を歩いて、心を癒すオアシスともいえる場所や店での買物の楽しさや、親切な販売員との会話がない索漠たる砂漠の街に、最近なりつつあるように思われます。街の一角にある酒屋の隣に酒のディスカウントが開店、酒屋の店主は病気で入院中、老婆一人で健闘中、心を癒す親切な対応は街のオアシスで、お得意客の応援で続いている。「街からオアシスを無くしてはいけない」と行政の良心に問いかけたい。人々の心をなごませる「声かけ」運動が始まっています。  小売業の道を極めるには、先輩が苦労された軌跡を学び、精神面の充実を図り、商業道徳を確立させる商人哲学が必要になります。

1.顧客満足を如何に図るか
 ある銘菓老舗の支店は、主婦パートの接客対応が馴れ馴れしく、客を敬う気持ちが微塵もなく、声をかけて売れさえすれば、それで良いというお粗末な接客は、お客に不快感を与え、客足は次第に遠のき、ついに閉鎖してしまった事例があります。
 販売員の適性の審査を厳しくするとともに、働く動機は、お金のために働くのではなく、人間好きで接客が楽しいという人が選ばれるべきで、店の為に貢献できる、無くてはならぬ人かどうか、入社後のOJTも適切になされているか、売場責任者の指導力に関わってくる。閉店に追い込まれた店の主婦バイトはただ一人の単独勤務であった。このようなことが起こらない為、お客の率直な意見を集める工夫がなされているかに関わる。
 あるレストランの注文票の裏面はお客の声の欄があり、支払いの時にレジに集められると、直ちに対策が講じられる仕組みになっている。店とお客の親密な関係にあれば問題解決は早くなるし、店の姿勢に顧客満足の努力がパートにいたるまで徹底され、行動面で厳しい教育が必要となる。苦情の対応が早い店ほど、店の雰囲気に活気があふれ繁盛している。  スーパーで、愛想の良いレジの所には買物客の行列がみられ、そうでないレジには寄り付かないという、人間関係の好き嫌いが買物でもハッキリ現れているといえます。これは、世の中があまりにも砂漠化しており、心の癒しになるオアシスを求めているからで販売員は、自己管理により役割の主役として、看護婦、スチュアーデスの眼差し・笑顔・態度を身につける位の熱心さが欲しい。ボディランゲージの習得が必要となる。
・「声かけ」を効果的にするには
 最近「ダイエー」各店では、店内通路ですれ違う時「いらっしゃいませ」と挨拶して通るようになった。客に敬意を払う動作として好感が持てる。待機の姿勢である場合には1米以内に客が近づくと「いらっしゃいませ」と挨拶する店もある。無言よりも親しみがわいてくる。「いらっしゃいませ」は言い易い。だが、客の反応をみて、その次の言葉がいえる販売員は数少ない。天候の変化、催事のお知らせ等、敬意をもって伝える親しさは一層倍加する。
 さらに、「声をかける」「声をかけられる」ことで思いがけない出会いが始まる。例えば、展示会・見本市等は、その道の専門家が出向して応対して、メーカー・産地直接の生の声(生産状況・新製品・業界状況等)を詳しく聴き、今後の情報源につながる。三越では、「声かけ」られて店内案内を承るシステムを実施している。客と親しくなる「声かけ」の前に、目・笑顔による挨拶には好感がもてる。
・言葉遣いに注意して真意を伝えよう
 「すみません」という言葉の後に「有難うございます」の言葉を添えて、感謝しよう。日常、相手に迷惑をかけた時やお手数をかけた時に「すみません」と良く使うが、それ等の好意に感謝の気持ち「有難うございます」の言葉を添えるだけで双方の心が通じる。

2.小売業で働く人に必要な資質―正直に生きる
 商人哲学の祖ともいえる鈴木正三(すずきしょうさん)(1579〜1655)は、商人の心得として「身命を天道に投げうって、一筋に正直の道を学ぶべし。正直の人には、諸天の恵み深く仏陀神明の加護ありて災難を除き、自然の福を益し、衆人愛敬浅からずして万事に叶うべし」と。次に、鈴木正三の思想を踏まえた石田梅岩(いしだばいがん)(1685〜1744)は「本心」において正直であれと説いた。
 このように正直は商人道の根幹となる。正確には信用に繋がり、金銭の間違いは絶対にしないことが商人である第一条件といえる。
 棚卸で過大な商品ロスが出ると、担当責任者は「どうしてこんなに出たのか」と頭を抱えて悩む。日頃から「商品はお金だから商品の私物化は泥棒になる。」と商品に対する全員の意識を高めることが必要で、金銭・商品の事故は、商人の恥になると心得ねばならぬ。
 素直さは、人間成長に欠かせない。何事も受容・承認・重視を踏まえて協調するのが大事。節約(倹約・始末)は、工夫してなるべくお金を使わぬこと。若い時は給料が少なく不満に思うが、お金の使い方を勉強する時期で、金持ちになる為に入った金を出さぬ習慣づくりを。捨てる物を工夫で商品化して、捨てるモノなしの知恵を出すのが商人の在り方といわれる。
 辛抱は、心棒、神棒、慎棒に通じ、心の持ち方次第でお金が出来る。大阪商人 大笹吉五郎は自らの墓標に「人二ハ|一」と刻み、家訓にして子孫繁栄の為に遺している。これは「人は辛抱が第一」と読み、これを纏めると「金」の字になる。心棒は、正直・素直・節約・辛抱の心を育てて、誠実な仕事をすれば幸運の波に乗れる。

3. 販売士の資格取得後の在り方
 販売士ハンドブックは5年毎更新するので、その最新知識の修得が必要になる。資格更新の講習会だけでなく、更新内容を熟読して時流の把握に努めたい。
 資格活用:最終的には、1級販売士・登録講師として販売士後輩の育成に携わる。
自己管理:健康管理 ニコニコ・ハキハキ・キビキビ 快食・快眠・快便
感情管理:良好な人間関係(円満な人格形成・協調)を作る。感情は十年・十ヶ月で循環・現時点の感情を把握する。
自己啓発:士魂練磨「販売士は如何にあるべきか」本質をとらえ、行動指針を樹立する。
この世に生まれてきた、自分の使命感を確立して実践する。
将来展望:世の中の変化を捉え流通の将来を洞察。有望分野の研究・準備。
特技貢献:自分だけしか出来ないオンリーワンの特技を磨き貢献する。

●おわりに
 「心(我欲)を滅ぼして、心(正直)を育てよ」と鈴木正三は喝破、商人として心の在り方を教えているが、流通業界の犯罪行為の続出は商業道徳の崩壊であり「販売士ハンドブック」に「商業道徳」を加筆挿入されて、真の商人の在り方を啓蒙していただきたいと思います。
以上



関西地区の物流センター見聞録

研修委員会委員長
2級販売士 泉 亨

 日本小売業協会主催による、第11回国内物流施設研修ツアーに参加しました。
 今回の訪問先は、関西タバコサービス物流センター、イズミヤ大阪センター、ドトール・コーヒー、松下エコテクノロジーセンターの4箇所で、一見、何の脈略もない取り合わせのようでしたが、4社に共通した現象として環境問題への配慮が上げられます。現在、小売業、製造業を問わず中心的な話題を占めている問題ですが、各社各様の取り組みが目の前に展開されていて、納得納得の連続でした。パソコンを駆使した伝票レスの仕入れ・配送、一度使用した段ボールの再使用、熱乾燥器によるペーパータオルの排除、オリコンの活用、リサイクル・リデユース・リユースの徹底による0エミッションへの取り組み等、やれば出来ることを全社的に実践している素晴らしい企業ばかりだと感動しました。反面、やれば出来る事をやっていない企業のいかに多いことかと、つくづく感じさせられました。大量生産・大量消費、そして大量廃棄を前提とした20世紀の社会システムから脱皮し、生産・消費・再生といった循環型社会システムへの転換が現実的に行われていることに意をつよくする2日間でもありました。
 最後の訪問先である松下エコテクノロジーセンターは、さすがは世界に冠たる松下電器の会社と感心しながら建物の中に入り、居心地の良い研修室で担当者の説明を受けることになりましたが、途中で一匹の蝿が舞い込み気忙しく飛び回って少々閉口させられました。この環境ではやがて飛ぶ力を失い動きをなくして床に転がり落ちてしまうんだろうなと、なんとなく考えましたがまさにその時1階では動きを無くした家電類が次々と解体処理され、リサイクル等に回されていた訳です。平均寿命から逆算して人生の75%以上を消化してしまった我身を考えると、ほろ苦い感傷にしばし身をゆだねながら帰途の車中の人となりました
以上